最低王子と小悪魔女

 さっきまで怒っていたのが嘘みたいに、一目散に駆けていく花那。

 ホントにあれは辱めだよな。なんの罰ゲームですかって話だよ。
 しかし花那のあの拒絶反応、過去に何かトラウマでもあるのか?


「さ、あたしらも行かないと」


 あたしだって、あのイタいポジションで写真に収まるのは大いに不本意だ。
 それが慎吾と揃ってとなれば、絶対愉快なことにはならないだろうしな。


「ちょっと待って。せっかくだし、今魔法のかけ直ししとこうか」

「へっ?」


 先を急ぎたいあたしの腕をつかんで、慎吾は自分の方へと引き寄せる。
 魔法のかけ直し。身に覚えはないのに、そのセリフに恐怖している自分を否定し切れない。

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