最低王子と小悪魔女

「……俺がこっそりかけてた、波月が俺のものっていう魔法のこと」

「っ、あんた……公衆の面前で……!」

「後でいっぱい重ねがけしよーな」


 にこやかに言うな、爽やかに笑うな。このハレンチ王子めがっ!


 バシーン! と中庭に響きわたるビンタに、ギャラリーから『あーあ』という失笑が漏れる。

 くそー。最後の最後まで、慎吾に恥かかされたー!


「馬鹿やってないで、とっとと行くぞ馬鹿慎吾!」

「はるなー、ほっぺいたいー」


 そりゃあらん限りの力を込めたんだから、痛くなかったら困るわい。


「あーもーすねるな! 終わったら首輪買ってやるから、早く来い」

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