最低王子と小悪魔女
「気にすることないって。試合見てたけど、クラスで一番がんばってたのって時任君だったし」
「でも、今日の試合だけはどうしても、矢柴に勝ちたかったんだよ」
やけに慎吾にこだわるな。
やっぱ、バスケ部の花形選手でモテるし、同年代で自分よりやや上を行く奴ってのは気になるものなのかな?
「あー、あんな体育の授業で一人アリウープ決めるような常識外れの奴を気にしても、仕方ないって」
励ましたつもりだったけど、なんだか難しい顔になる。時任君はしばらく黙ったまま視線を泳がせた。