最低王子と小悪魔女

「時任と付き合うのを、だよ。……ていうか、誰とでも駄目」


 金網を握る両手が、震えてる。
 何が起きようとしてるのか、これから何が変わってしまうのか。それが怖くてあたしは震えていたんだ。

 なのに慎吾はそんなあたしに気付かない振りか、本当に気付かないでか知らないけど、少しも手加減することなくあたしを追い詰める。


「俺にしときなよ、波月」


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