最低王子と小悪魔女


 一瞬、くらっとした。

 ……でもあたしは、倒れたり堕ちたりなんてしないぞ。


 下手したら、あたしでもうなづいてしまいそうな台詞とシチュエーションだ。

 だが場所がまずかった。

 ここでまた一人、女の子が無残にも傷付けられたのは記憶に新しい。
 唐突にその光景が、あたしの目の前をよぎったのだ。

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