最低王子と小悪魔女

 ――なぬ?

 口をコイみたいにパクパクさせながら時任君を見上げると、口の端をちょっと持ち上げるカッコつけた笑い方をしてる。顔は赤いけど。


「まあ、いーよ。ゆっくり考えてくれても。今まで待ってきたんだし、これから待つのも大して変わんないしな」

「まっ、待ってたって、時任君」

「同じクラスになってから、いいなって思ってた。黒木は、その頃から矢柴しか見えてなかったみたいだけどさ」

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