最低王子と小悪魔女

 あたしだってしゃくだ。この上なく。
 そう思ってロコツに顔をしかめると、また時任君は笑った。楽しそうに。曇りのない晴れやかな顔で。


「まっ、いいや。これからよろしくな。お隣さん」


 この爽やかな申し出に、素直にハイよろしくと返せないのは、やっぱりあたしがどっかひねくれているせいだろーか。

 いや、先行きの不安のせいだ。うん、きっとそうに違いない。


< 64 / 267 >

この作品をシェア

pagetop