最低王子と小悪魔女

「波月は、俺が仕返ししてるって思ったんだ」

「だって……そうじゃなきゃ、なんであんなことするのよ」

「俺がそうしたかったから。波月を誰にも渡したくなかったから。それだけの理由じゃ不満?」


 不満だよ。ああ、大いに不満だね。
 こうやって心の中でしか言えない辺り、もう負け戦の色が濃厚だ。

 なんなんだよ、さっきまで犬コロみたいにきゃるんと可愛かった奴が、なんだってこんな顔や声が出せるんだ!
 お陰ですっかり腰がひけちゃったじゃないか!

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