最低王子と小悪魔女

 キッと睨み上げると、慎吾は一瞬にこりとしてみせて、それから真顔になる。
 さっきの微笑とも、一昨日の本気の顔とも少し違う……悲しそうな目。


「本気だったから。……そりゃ、からかいはしたけど、俺の言葉に嘘なんてひとつもないから。
だから謝らないよ」


 もう一度、子供に言い聞かせるようににこりと笑ってみせて、それから背中を向けて歩き出した。

 とてもじゃないけど、その背中を呼び止める言葉を見つけることなんて出来ない。


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