最低王子と小悪魔女
「慎吾、あんた一回痛い目にあえばいいよ。すっごく好きな人が出来て、でもあんたの行いのせいでどんな真剣な言葉も届かない。おまけにタチの悪い遊びだって思われて、これ以上ないほど冷たくあしらわれればいいんだ」

「ないよ。だって俺、誰も好きにならないから」


 会話が会話なら、まるで夢見るような微笑みは天使のように見えただろうけど。

 こんなに無邪気に『誰も好きにならない』と言い切った慎吾に、あたしは寒気にも似たものを覚えたのだった。





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