最低王子と小悪魔女

 見当違いな気もするし、あながち間違ってもいない気もする。
 でもとにかくそのアドバイスが嬉しくて、あたしはようやく笑顔になれた。


「ありがと、時任君」

「……あぁ」


 顔を赤くしてそっぽを向く。そして頭を抱えてぐしゃぐしゃっとした。

 ちょっとちょっと、ワックスで丹念にセットされた髪が台無しだよ、時任君。

< 84 / 267 >

この作品をシェア

pagetop