揺れない瞳
芽依ちゃんが、『自分に似ている』と言って大切につきあっている女の子に会ったのは偶然だった。

たまたま誘われたコンパに顔を出すと、明らかに場慣れしていない様子の目の前の女の子から目が離せなくなった。
華奢な雰囲気の色白の女の子は、一番端の席にひっそりと座って目立たないようにしていたけれど、整った顔立ちのせいか、周りから視線を浴びていた。
多分、そこにいた男達みんな彼女を意識していたけれど、彼女の隣にいる女の子がガードしていてなかなか声もかけられないまま食事は始まっていた。

俺もどう声をかけていいのかわからないまま、過ごしていた。

俯きがちで、自己紹介の順番に緊張しながらも、その場の雰囲気を崩さないように薄い笑顔を浮かべる女の子に、俺は一気に気持ちを持っていかれたんだろう。

その時、メール受信に気づいて何気なく開くと。

何度か遊んだ事のある女の子からの誘いのメール。普段なら、授業やバイトに支障がない限り応じる俺なのに。

『悪い。これからは他あたって』

と気遣いもなにも感じられない返事をすぐに送信してしまった。
恋人として付き合いたいと思わないまでも、誘われれば拒まない俺が、こんな簡単に女の子を遠ざけた自分を信じられなかったと同時に、真面目とは言えない付き合い方しかしてこなかった俺の過去を考えて、思わず苦笑した。

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