揺れない瞳


ねっねっと。
私の腕を掴む芽実さんの勢いに負けそうになりながら、やっぱり私には無理なんだけど…と思いつつも。
こんなに真面目に私をかってくれる人に会ったことは初めてで。
それ自体の心地良さが私を違う考えにも連れていく。

モデルも最終審査も…私には縁のなかった事が。
いま現実に私の前にやってきていて、私が自分自身で選択もできる。
今まで、小さな頃から他人が決めたことに従うしかなかった私の人生にはなかった事が今起こっている…。

信じられないって思いながら、ほんの少し夢見心地の温かさに浸りつつ。
それでも現実味のない展開は、いつか私を悲しみに追いやるんじゃないかと不安定さも私に与えてる。

小さな頃から私の望みがそのまま叶った事なんてないせいか、やっぱり信じられない夢のような話。

信じられない事って言えば、思い出してしまうのは央雅くん…。

彼こそ、信じられないほどの存在…。

いつの間にか私の生活に入ってきて大きく気持ちを揺らす人。

何を考えてるのかも、何を求めるのかもわからない。

それでも。

今の私の状況を、会って話したい唯一の人だと思うと…少し切ないな…。


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