揺れない瞳
一体、私の事をどう思っているんだろう。
央雅くんの近くにいてもいいと言われて、嬉しい気持ちが溢れるけれど、告白の答えをはっきりともらえていない事にも気付いてる。

私は央雅くんに「好き」と言って央雅くんの気持ちを求めたのに、央雅くんは「愛しい」「側にいろ」としか答えてくれない。

やっぱり、私を大切に思う気持ちの前には、芽依さんの存在が立ちはだかっているのかな。芽依さんへの複雑な思いの延長線上に私がいるのなら、私を側に置きたい真意はきっと、私への恋心ではないんだろう。

私が求める愛情を、相手から返してもらえない悲しさは何度も経験した。

けれど、今の私にそんな経験は役にたたなくて、央雅くんの目の前で泣かないよう気持ちを閉ざすだけで精いっぱいだった。

< 173 / 402 >

この作品をシェア

pagetop