揺れない瞳
どうしようかと、央雅くんに視線を投げると、
「じゃ、温かいうちに先に食うから。……夏基さんの帰り、相変わらず遅いの?」
私に向かって、戸惑いを一蹴するように、頷いてくれた。
気にしなくていいと、言ってくれているようで、ホッとする。
絶対的な、私の味方だから大丈夫だと、安心させてくれるようにも感じた。
央雅くんと二人、テーブルに向かい合うと、妙に恥ずかしくて顔を上げることすら大変で、急須から湯呑にお茶を注ぐ手も震えてしまう。
こうして食卓について、ゆっくりと食事をするなんて、まるで本当の恋人同士みたいで……あ、一応、本当の恋人同士なんだよね……。
突然の展開だから、その状況に、自分自身が馴染んでいない事を実感する。
途端に、鼓動は激しくなって、顔も熱くなってくる。
バイトの帰りに手を繋いで帰る事にも慣れて、二人でいる事を、自然に考えられるようになっていたとはいえ、突然進んだ関係に、私の気持ちはついていかない。
もちろん、央雅くんの恋人になれた事は、嬉しくてたまらないし、決して嫌だというわけではない。それでもやっぱり、まだ、慣れてないから……。
お茶をいれた湯呑を渡す手だって、震えてしまう。
目の前の央雅くんは、そんな私の気持ちをお見通しなのか、湯呑を受け取ってくれた後、震える私の手を優しく握った。
「え……?」
突然感じた央雅くんの体温に驚いて、はっと央雅くんを見ると、からかうように笑っている瞳が、じっと私と見つめていた。
優しく央雅くんの手に包まれたままの右手から、意識を反らせないまま、あたふたしている私。
央雅くんは、そんな私の姿を楽しむかのように笑うと、
「同棲してるみたいだな」
私にしか届かない小さな声で、そっとささやいた。
そんな甘い言葉に、私の体は一瞬にして溶けそうになる。
交わす視線からも、繋がる右手からも、央雅くんの優しい思いが伝わってきて、全身の力が抜けていく……。
「顔、真っ赤」
そんな央雅くんの言葉にも何も言えないまま、私の全身は、全く機能しなくなってしまった。
くすくす笑う央雅くんの顔をぼんやりと見つめていると、玄関から『ただいまー』と明るい声が聞こえた。
夏基さんが、意外に早く帰ってきたようだ。
「じゃ、温かいうちに先に食うから。……夏基さんの帰り、相変わらず遅いの?」
私に向かって、戸惑いを一蹴するように、頷いてくれた。
気にしなくていいと、言ってくれているようで、ホッとする。
絶対的な、私の味方だから大丈夫だと、安心させてくれるようにも感じた。
央雅くんと二人、テーブルに向かい合うと、妙に恥ずかしくて顔を上げることすら大変で、急須から湯呑にお茶を注ぐ手も震えてしまう。
こうして食卓について、ゆっくりと食事をするなんて、まるで本当の恋人同士みたいで……あ、一応、本当の恋人同士なんだよね……。
突然の展開だから、その状況に、自分自身が馴染んでいない事を実感する。
途端に、鼓動は激しくなって、顔も熱くなってくる。
バイトの帰りに手を繋いで帰る事にも慣れて、二人でいる事を、自然に考えられるようになっていたとはいえ、突然進んだ関係に、私の気持ちはついていかない。
もちろん、央雅くんの恋人になれた事は、嬉しくてたまらないし、決して嫌だというわけではない。それでもやっぱり、まだ、慣れてないから……。
お茶をいれた湯呑を渡す手だって、震えてしまう。
目の前の央雅くんは、そんな私の気持ちをお見通しなのか、湯呑を受け取ってくれた後、震える私の手を優しく握った。
「え……?」
突然感じた央雅くんの体温に驚いて、はっと央雅くんを見ると、からかうように笑っている瞳が、じっと私と見つめていた。
優しく央雅くんの手に包まれたままの右手から、意識を反らせないまま、あたふたしている私。
央雅くんは、そんな私の姿を楽しむかのように笑うと、
「同棲してるみたいだな」
私にしか届かない小さな声で、そっとささやいた。
そんな甘い言葉に、私の体は一瞬にして溶けそうになる。
交わす視線からも、繋がる右手からも、央雅くんの優しい思いが伝わってきて、全身の力が抜けていく……。
「顔、真っ赤」
そんな央雅くんの言葉にも何も言えないまま、私の全身は、全く機能しなくなってしまった。
くすくす笑う央雅くんの顔をぼんやりと見つめていると、玄関から『ただいまー』と明るい声が聞こえた。
夏基さんが、意外に早く帰ってきたようだ。