揺れない瞳
「今日のコンパ、楽しかった?」
「え?」
低くて単調な央雅くんの声に、浮かべていた愛想笑いさえ消えてしまった。
すると、央雅くんは体を前に屈めて、私の顔を覗き込んだ。
遠くからだけではなく、近くから見ても整った顔は、やっぱり芽依さんに似ている。
「楽しくなかった?あまりみんなと話してなかったし」
「あ…そんな事はないけど、私、初めての人と話すのが苦手だから」
「へえ。そのわりに、俺とはちゃんと話せていたよね」
顔を覗き込まれたまま、どちらかというと強い口調で聞いてくる央雅くん。
全てを見抜かれてるような鋭い視線に戸惑ってしまった。
確かに、コンパの間ずっと央雅くんと話していたし、央雅くん以外の男の人とは殆ど話さなかった。
「央雅くんが……ひまわりのストラップつけてくれていて、嬉しかったから……」
途切れ途切れで、決して滑らかではない私の言葉を黙って聞いてくれる央雅くんに、嘘のない私の気持ちを伝えた。
「私……あまり友達も多くないから、たとえストラップだけでも、私とつながってくれている人がいるってわかったのが嬉しかった。
だから、……央雅くんに会えてうれしかったし、今日のコンパは楽しかった」