揺れない瞳
「あんなのいつもの事だよ。あれだけ格好いいんだから央雅くん目当ての女のお客さんも結構いるしね。いちいち気にしてたら疲れるよ」
「央雅くん目当て……」
「そう。まあ、このお店は料理のおいしさとお酒の種類の豊富な事。そして何よりこの溢れんばかりに飾られている絵画が有名だけど。
央雅くんとか……まあ、祥もだけど、店員目当てだってあからさまな客も多いんだ」
このお店に何度か来た事がある加絵ちゃんは、央雅くんの様子を見慣れているのか大したことじゃないとでもいうように肩をすくめた。
そうかもしれないけど、大したことじゃないかもしれないけど。
私にとっては胸が痛い場面を見せられた気がする。
央雅くんと出会ってから自分の気持ちを追う事ばかりを優先して、ちゃんと央雅くんを見ていなかったのかもしれない。
どこにも暗い影もなく、明るいだけの笑顔を私に見せてくれたことなんてなかったような気がする。
私と会う時にはいつも、何かを想い、抱え込んでいるような表情だし。
たとえ笑っていても、今央雅くんが浮かべている笑顔とは違うもの。
バイト中だから当たり前だけど、会話もなく視線もかみ合わない央雅くんと私。
カウンターの向こう側にいる央雅くんが、とても遠い存在に思えた。
「央雅くん目当て……」
「そう。まあ、このお店は料理のおいしさとお酒の種類の豊富な事。そして何よりこの溢れんばかりに飾られている絵画が有名だけど。
央雅くんとか……まあ、祥もだけど、店員目当てだってあからさまな客も多いんだ」
このお店に何度か来た事がある加絵ちゃんは、央雅くんの様子を見慣れているのか大したことじゃないとでもいうように肩をすくめた。
そうかもしれないけど、大したことじゃないかもしれないけど。
私にとっては胸が痛い場面を見せられた気がする。
央雅くんと出会ってから自分の気持ちを追う事ばかりを優先して、ちゃんと央雅くんを見ていなかったのかもしれない。
どこにも暗い影もなく、明るいだけの笑顔を私に見せてくれたことなんてなかったような気がする。
私と会う時にはいつも、何かを想い、抱え込んでいるような表情だし。
たとえ笑っていても、今央雅くんが浮かべている笑顔とは違うもの。
バイト中だから当たり前だけど、会話もなく視線もかみ合わない央雅くんと私。
カウンターの向こう側にいる央雅くんが、とても遠い存在に思えた。