揺れない瞳
②
学校に提出しなくちゃいけない課題を仕上げる為にミシンを思いっきり活躍させている。
ザザザって流れる生地に意識を集中しながら、普段なら出来上がりを期待するうきうきした高揚感が体に溢れるのを待つけれど。
なかなかいつものようにはいかない。
ミシンの音も、生地の手触りも、平面が立体に変化していく過程も。
唯一私が感情豊かになれる物たちで、小さな頃からずっと、この時間が大切で大好きだったのに。
今の私は気持ちがあちこちに散らばっているようで、作品に気持ちがこもってないような気がする。
子供服を仕上げるのは楽しくて、いつか私にも子供を持つ機会があれば…。
そんな日はこないと思うけれど。
こんな服を着せたいって思いながら作っているワンピース。
レースをあしらった薄い黄色はとてもかわいくて、作りながら優しい気持ちになるけれど。
それ以上に感情をかき乱されるのを実感して、どうしても落ち着かない。
ちらちらと、近くに置いている携帯が気になって仕方がない。