揺れない瞳
そんな事、テーブルを片付けながら考えていると、ドアが開いてお客さんが入ってきた。

『CLOSE』の札は立てているはずなのにどうして?
今からオーダーをとるわけにはいかないし…。

戸惑いながら見ると、入ってきたお客さんは誰かを探しているように店内を見回している。
私からは後姿しか見えないけれど、その背中になんとなく見覚えがあって。

ドキッとする。鼓動も一緒に跳ね上がる…。

長身の後姿は、期待しちゃいけないけど、そうだったら嬉しい…人の顔を浮かび上がらせて。
私にしては珍しいくらいにじっと、その姿を見つめてしまう。

もしかしたら、そうなのかな。

鳴らない携帯の向こうにいて欲しい人…。




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