揺れない瞳
「川原くんって、最終審査で一位になったのに、うちの会社にこないどころかデザイン関係の仕事には就かないとか言ってるから、呼び出して話をしたの」
思い出しながら興奮している芽実さんに、何も言えずただ聞くだけの私。
私の混乱なんか意に介することなく、言葉は続いていく。
「ゲーム業界に就職するとか言ってるし、本当、才能あるのにもったいない。
あのドレス、ショーに出してもいいし、うちの会社でどうにかするならしてもいいとかあっさり言うから、さすがの私も目がテンになっちゃって。
普段以上にしゃべっちゃったわよ」
……やっぱり。
目がテンになっても、言葉を失わずに更にがんがんしゃべってたのか。
それが、芽実さんだな……。
「でね、川原くん、最近結婚して何かとバタバタしてるからショーの事は一切私に任せるって言ってくれたの。
それでぱっとひらめいたのが、結乃ちゃん。
あのドレスってミニ丈でかわいらしいし、絶対に結乃ちゃんに似合うから。
だから、モデルとして出てね。お願い」
にっこり笑って頭を下げた芽実さんは、下げた姿勢のままでテーブルの上に手を伸ばし、さっき置いてくれたショーの詳細が書かれた冊子をぺらぺらとめくった。
「これこれ。結乃ちゃんに似合いそうでしょ?」
芽実さんが開いたページには、何度か見た事がある川原さんの作品。
「川原くんもね、結乃ちゃんならイメージに合うし、いいんじゃないかって言ってくれたのよ。まあ、彼が反対しても押し切るつもりでいたんだけど。
央雅くんも、このドレス着てランウェイを歩く結乃ちゃんを見たいでしょ?
俺の恋人なんだぞって叫んでくれてもいいよー」
ありえない。
私がモデルなんて、ありえない。
自分の作品ならまだしも、他人の作品を着て人前に出るなんて、本当のモデルさんみたいで、ありえない。
思い出しながら興奮している芽実さんに、何も言えずただ聞くだけの私。
私の混乱なんか意に介することなく、言葉は続いていく。
「ゲーム業界に就職するとか言ってるし、本当、才能あるのにもったいない。
あのドレス、ショーに出してもいいし、うちの会社でどうにかするならしてもいいとかあっさり言うから、さすがの私も目がテンになっちゃって。
普段以上にしゃべっちゃったわよ」
……やっぱり。
目がテンになっても、言葉を失わずに更にがんがんしゃべってたのか。
それが、芽実さんだな……。
「でね、川原くん、最近結婚して何かとバタバタしてるからショーの事は一切私に任せるって言ってくれたの。
それでぱっとひらめいたのが、結乃ちゃん。
あのドレスってミニ丈でかわいらしいし、絶対に結乃ちゃんに似合うから。
だから、モデルとして出てね。お願い」
にっこり笑って頭を下げた芽実さんは、下げた姿勢のままでテーブルの上に手を伸ばし、さっき置いてくれたショーの詳細が書かれた冊子をぺらぺらとめくった。
「これこれ。結乃ちゃんに似合いそうでしょ?」
芽実さんが開いたページには、何度か見た事がある川原さんの作品。
「川原くんもね、結乃ちゃんならイメージに合うし、いいんじゃないかって言ってくれたのよ。まあ、彼が反対しても押し切るつもりでいたんだけど。
央雅くんも、このドレス着てランウェイを歩く結乃ちゃんを見たいでしょ?
俺の恋人なんだぞって叫んでくれてもいいよー」
ありえない。
私がモデルなんて、ありえない。
自分の作品ならまだしも、他人の作品を着て人前に出るなんて、本当のモデルさんみたいで、ありえない。