揺れない瞳
央雅くんの成人式の日。
それは父さんと愛子さんの結婚式の日でもあった。
父さんたちの結婚式は、高級ホテルとして有名なアマザンホテルで催された。
そして、成人式が終わっての食事会をする央雅くんたちがやってきたのもアマザンホテル。
その偶然を知ったのは数日前の事で、急きょ両家の顔合わせの場も設けられる事となった。
再婚とはいえ大きな会社の社長である父さんの披露宴には各界から著名な方々が大勢列席し、さながら政治家のパーティーのようだった。
テレビで見た事のある評論家や、どこかの会社の社長さんたち。
父さんの会社がスポンサーをしているスポーツ選手もちらほら。
感情の起伏が少ない私でもその顔ぶれには興奮してしまうくらいに豪華な披露宴。
主役である愛子さんも、豪華な披露宴を事前に納得していたんだろうけど、緊張は隠せないようだった。花嫁さんとしての輝きがその緊張をカバーするくらいに力を発揮していたけれど。
そんな中でも、愛子さんは私に気を遣ってくれて
『結乃ちゃんの作ってくれたウェディングドレスの力で綺麗に見えるだけよ』
と謙遜していたけれど、愛子さんは本当に綺麗な花嫁さんだった。
10歳も年上の父さんにはもったいないくらい。
愛子さんのご両親にも初めて会って、挨拶した。
とても優しい瞳をしたお父さんと、しっかり者のお母さん。
この二人に愛されて育ったから、今の素敵な愛子さんがいてくれるんだと思った。愛子さんのウェディングドレス姿を見て泣いているお父さんの姿を見ると、私の時にもこんな風に父さんは泣いてしまうのかなあと、切なさも溢れてくる。
そして、無事に披露宴を終えて。
着替えた私と父さんたちを待っていてくれた央雅くん一家。
アマザンホテルのスイートを予約した父さんは、部屋に料理も運んでもらって段取りを整えていた。
自分の立場を大いに利用して、部屋には何人かの給仕さんもいた。
正直、父さんってやっぱり社長なんだと実感した。
でも、それはまだまだ序の口で、さすが会社の経営者。
私への愛情という正当な感情を盾に、顔合わせの最初から最後まで、父さんの思い通りに話は進められた。
まず、私が今住んでいるマンションにそのまま二人で住む事。
央雅くんも私も学業優先で生活し、落第せずにちゃんと卒業する事。
子供は卒業するまで作らない。
そして、二人の生活費と学費全て、父さんが出すと言う事。
「ちょっと待って下さい」
央雅くんの声。やっぱり。
央雅くんも央雅くんの家族も、納得できないよね……。
それは父さんと愛子さんの結婚式の日でもあった。
父さんたちの結婚式は、高級ホテルとして有名なアマザンホテルで催された。
そして、成人式が終わっての食事会をする央雅くんたちがやってきたのもアマザンホテル。
その偶然を知ったのは数日前の事で、急きょ両家の顔合わせの場も設けられる事となった。
再婚とはいえ大きな会社の社長である父さんの披露宴には各界から著名な方々が大勢列席し、さながら政治家のパーティーのようだった。
テレビで見た事のある評論家や、どこかの会社の社長さんたち。
父さんの会社がスポンサーをしているスポーツ選手もちらほら。
感情の起伏が少ない私でもその顔ぶれには興奮してしまうくらいに豪華な披露宴。
主役である愛子さんも、豪華な披露宴を事前に納得していたんだろうけど、緊張は隠せないようだった。花嫁さんとしての輝きがその緊張をカバーするくらいに力を発揮していたけれど。
そんな中でも、愛子さんは私に気を遣ってくれて
『結乃ちゃんの作ってくれたウェディングドレスの力で綺麗に見えるだけよ』
と謙遜していたけれど、愛子さんは本当に綺麗な花嫁さんだった。
10歳も年上の父さんにはもったいないくらい。
愛子さんのご両親にも初めて会って、挨拶した。
とても優しい瞳をしたお父さんと、しっかり者のお母さん。
この二人に愛されて育ったから、今の素敵な愛子さんがいてくれるんだと思った。愛子さんのウェディングドレス姿を見て泣いているお父さんの姿を見ると、私の時にもこんな風に父さんは泣いてしまうのかなあと、切なさも溢れてくる。
そして、無事に披露宴を終えて。
着替えた私と父さんたちを待っていてくれた央雅くん一家。
アマザンホテルのスイートを予約した父さんは、部屋に料理も運んでもらって段取りを整えていた。
自分の立場を大いに利用して、部屋には何人かの給仕さんもいた。
正直、父さんってやっぱり社長なんだと実感した。
でも、それはまだまだ序の口で、さすが会社の経営者。
私への愛情という正当な感情を盾に、顔合わせの最初から最後まで、父さんの思い通りに話は進められた。
まず、私が今住んでいるマンションにそのまま二人で住む事。
央雅くんも私も学業優先で生活し、落第せずにちゃんと卒業する事。
子供は卒業するまで作らない。
そして、二人の生活費と学費全て、父さんが出すと言う事。
「ちょっと待って下さい」
央雅くんの声。やっぱり。
央雅くんも央雅くんの家族も、納得できないよね……。