揺れない瞳
いつもよりも央雅くんの顔が精悍に見えるのは、今日成人式を終えたからかな。
私の大切な人、手離したくない人。央雅くんは、ふっと表情を緩めると。


「……お父さんだけじゃなくて、俺にも甘えてくれるなら、いいぞ」


もちろん、そのつもり……。央雅くんがいやっていうくらいに甘えるつもり。

そう伝えたいけれど、涙が一気に溢れた私は何も言えないまま、ただ頷くしかできなかった。
央雅くんのご両親もみんな、私の事を守ってくれるように笑ってくれた。

そして、涙の収まらない私だけど。
これからの未来が、とても待ち遠しくなった。

そして、どんなに幸せな毎日を過ごして、どんなに央雅くんとの満ち足りた生活を送っても、今この瞬間に感じている気持ちは、決して忘れない。

泣き過ぎて気持ちが悪くなるくらいに泣いていても。

私は今、幸せだから。


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