揺れない瞳


終電にはまだ余裕があるとはいっても、急がないと私を送ってくれた後の央雅くんの事を考えると申し訳なくなる気持ちは隠せない。

並んで歩いていても自然と足早になってしまう。
央雅くんにしてみれば、普段と変わらないペースで歩いてるだけなんだろうけど。

どれだけの距離を作って歩けばいいのか、横を歩いてみたりちょっと後ろを歩いてみたり、駅まで送ってもらうだけの短い時間なのに落ち着かない。

男の人と二人で並んで歩く経験なんて、殆どなくて、経験値の低さが今の私を右往左往させている。
単純に男の人だといっても、央雅くんみたいな見た目の格好いい人なら尚更。

接点を持つ事もなかったから、今の私の緊張感はかなりのもの…。

そんな私の様子を気にかけながら、つかずはなれずの距離で央雅くんは私の横を歩いてる。

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