揺れない瞳
初めて会ったコンパの帰りと同じように、央雅くんは手を差し出してくれた。
私の手をとってくれるのかな…。
そっと見た瞳は何の感情も映していなくて、どんな気持ちでこの手を取ればいいのかわからない。
不安げな想いが顔に浮かんでいるに違いないまま、ゆっくりと私の手を重ねると、待っていたかのようにぎゅっと握りしめてくれた。
温かい手に、硬くなっていた心も少し和んでいくよう。
私の数歩先を歩く央雅くんに引っ張られるように駅に向かった。
その背中を見つめていると、何も話してくれない後姿に寂しさも感じるし距離も感じてしまう。
この前送ってくれた時よりも、二人の間の温度が下がってしまった気がするのは気のせいかな…。
単純に私を心配して送ってくれたあの日の央雅くんとは雰囲気の違う今の後姿に切なくなる。