揺れない瞳
私の住むマンションの下まで、央雅くんは送ってくれた。
央雅くんの家は、同じ沿線の三つ先。
ご両親と同居しているけれど、二人とも医者として活躍しているせいで、なかなかゆっくり顔を合わせられないらしい。
マンションの下で向かい合ってそんな話をぽつぽつとしてくれる央雅くんは、時々じっと私を見つめる。
ふとした拍子に照れてしまう私の様子に小さく笑ったり、どう見ても緊張している私の手をふざけたようにぎゅっと握りしめてくれたり。
私の仕草や表情を探るように、そう、何か探るようにじっと。
瞳をのぞきこんだり。
その央雅くんの様子に一喜一憂する私にさらに笑ったり。
…よくわからない。
私を見てくれてるのはわかるけど、どうしてなのか。
よくわからないけれど、男の人ってこういうものなの?
恋愛どころか男の人との関係に慣れていない私の心は大きく揺れてる。