揺れない瞳
俺が迎えに行くから、バイトが遅くなりそうな時には連絡して」

「…あの…どうして…?」

「こんな夜遅くに一人で帰すのも心配だし、他の男が送るのも嫌だから」

「…」

顔色も口調も穏やかで、淡々とそう言う央雅くんは、繋いでいない方の手の甲で私の頬を撫でると、くすっと笑った。

「俺も大学忙しいから、俺が迎えに行ける日にバイト入れて欲しい」

…どうして、私は央雅くんの言葉の意味がわからないのか。
当たり前の事のように言う央雅くんは、その言葉が何の疑問もないように軽く笑うから。

央雅くんを理解できない私がおかしいのかと…。

戸惑うだけで、何も言えずにいた。
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