揺れない瞳
変わる私


大学生になって二回目の冬は将来の自分を考える時間も増えて、就職の事も真面目に考えなきゃいけない。

被服を学んでいるのは、単純に私自身が洋服を作る事に楽しみを感じるからで、未来の経済的なものを期待しているわけじゃない。

デザイナーになれるとも思わないし、アパレル関連の会社で力を発揮できるなんて論外。

自分の実力は自分が一番わかってる。
素人が作る洋服のレベルとしては誉められる事はあっても、商売として成り立つほどの技術は持っていない。

それを悲観するつもりも、もっと努力をして腕を上げようっていう上昇志向にあふれる自分でないこともよくわかってる。

日常生活の中で、洋服づくりやこまごまとした雑貨を手作りする事ができれば十分。

…そうなると、大学卒業後はどうやって生きていこうかと、就職についてまっさらな状態から考え始めてる。
好きなことを仕事にできればいいのかもしれないけど、好きなことは趣味としておいておいて、仕事については一人で生きていけるための永続性が感じられるものを探したい。

就職ガイダンスを受けて現実をのぞいただけで、ため息が出る私に。

しっかりと未来に目途を立てられることのできる就職なんてできるのかな。

小さな頃から、その日その日を過ごす事だけで精一杯だった私には、未来を具体的に考える事が難しい。
< 93 / 402 >

この作品をシェア

pagetop