家族になろうよ!
報われない思いを紛らわすために、さてゲームでもするか。
とテレビの電源を入れたところで、歯切れの悪いピンポンが聞こえた。
我が家の呼び鈴はよそより特に劣化していて、うまく鳴らないのだ。
しかし、もう来たか。
玄関まで行くのが面倒な俺は、居間から大声で来客に応対した。
「今更遠慮することないだろ、勝手に上がって来い!」
すると錆びついたドアノブを勝手知った要領の良さで回す音がして、家の造りの小ささに窮屈そうに肩をすくめたデカブツが姿を現した。
「斗馬クン、ひどいよ!なんで先に帰っちゃうの?」
目が合った途端に飛びつかれた。
めそめそするほどのことでもないだろうに、こんなんじゃせっかくのイケメンが台無しだ。
「お前が後輩に挨拶してくるって言ったんじゃねーか」
「すぐ終わるからって言ったじゃん、待っててくれてもいいじゃん!」
「分かったよ、謝るからまとわりついてくるな」
肩にすがりついてくる巨体を押し退けながら、俺はゲーム機の起動ボタンを押した。
我が家で凌と一緒に放課後を過ごすようになってから、どれくらいになるだろう。
あの婆さんが年甲斐もなく男を作ってどこかへ行っちまったのが小四の夏のことだったから、そうだな。
もうかれこれ五年は経つわけだ。
そもそも俺と凌が出会ったのは、俺達がまだ幼稚園に通っている頃のことだった。