家族になろうよ!
言わなければならないことは山ほどあるのに、言うことをきかないこの口からは、たったこれだけしか出てこなかった。
「優子は、悪くないから」
足りない。
こんなんじゃ全然足りない。
俺は恐がっている。
自分の非を認めて、責められることを。
どうしようもない卑怯者だ。
体が逃げたがっている。
でもそれだけは絶対に駄目だ。
必死に布団にしがみついて、目を逸らさないように踏ん張る。
ごめんな。
ごめんな。
せめて目で精一杯訴えると、優子の眉間から、すうっと力が抜けた。
そして少しまぶしそうに数回まばたきをしたあと、その目はゆっくり閉じられた。
眠ってしまったようだ。
さっきよりも心なしか安らかな顔をしている気がする。
少し開いた唇、力の抜けた頬は普段より丸みを帯びていて、幼い印象を受ける。
無防備な寝顔は、それでも年相応には見えないけれど、やっぱりまだ子供のものだった。
「……ごめんな」
今更出てきても遅い。
機を逸した謝罪は、行く宛てなく漂って消えた。