家族になろうよ!


俺はいらない子。


幼稚園に通い始める頃には、俺は思春期並みの立派な劣等感を体の芯に据えた根暗になっていた。

うまく友達も作れず、先生もどこか俺を敬遠している。

やはり俺はどこにいても、すみっこで一人、ぼうっとしていたのだった。




その日も俺は公園にいた。

脳天をこんがり焼きつける大きな太陽をなだめる雲一つない晴天だった。

いつも外界を遮断して自分の世界にこもっていた俺でも、さすがに無視できない凶暴な暑さ。

俺はゆらりと立ち上がり、いつもの定位置を見捨てて日陰を探した。

この暑さだから、公園には俺以外の人間はいない。

だからいつも土管を占領して秘密基地ごっこをしている小学生の姿もなかった。

これ幸い、と俺は土管の中にもぐりこんだ。

中は涼しくて、座るとズボン越しにコンクリートの冷たさが伝わって来て心地よかった。

心なしか、外より空気が澄んでいる気がする。

ここはいいな。

背もたれもあるし、静かだし、俺だけの空間みたいだ。

これからは、ぎゃーぎゃーうるさい小学生なんて来なきゃいい。

そうしたら、俺は毎日ここにいられるのに。……


薄暗いことも手伝って、うとうと夢の世界に片足をつっこみ始めたときだった。


「あっ、せんきゃくがいたですねー」


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