家族になろうよ!
「醜い嫉妬心から非道な行為に走る輩を許すな、噂を信じるな、って。すごく野太くて説得力のある声だったよ、誰かは分からなかったけど」
そんなことする奴、一人しかいねえだろ!とは言えなくて、堪えた。
「その放送で言ってた男子生徒って、今流れてる噂とか、学校を休んでることとか考えたら、服織女くんかもしれないって気づいて……。いじめられてるなんて知らなかった。私、噂を信じちゃって、服織女くんを傷つけてしまったかもしれない……本当に、本当にごめんなさい!」
「いや、もう大丈夫だから。気にしないで……」
あまりにも気に病んでいる様子の早乙女那美をなだめていたら、彼女の肩越しに、あの勘違い野郎を見つけた。
おとなしく席に着き背中を丸めて教科書を読んでいたそいつは、俺の視線に気づいた途端、大袈裟なまでに肩をすくませて、大慌てで教科書に顔を埋めた。
これは如何したことか。
凌を見ると、親指を立ててウインクを飛ばしてきた。
……まあ、いいか……。