家族になろうよ!
家に帰ると、優子も帰宅したばかりだったようで、買ってきた食材を冷蔵庫に詰めこんでいる最中だった。
「おかえりなさい」
「た、ただいま……」
意を決して初めて挨拶を返してみたら、照れ臭くてどもってしまった。
そんな格好悪い俺を、優子はわずかに口角を引き締めて見つめてくる。
喜んでいる、のだろうか。
なんとなくだが、そう感じ取った。
「今から味噌汁作るのか?」
「はい」
「じゃあ、俺も一緒に作るから」
俺なりに考えた、この家に暮らしていく上で自分のすべきこと。
たいそうなことは思いつかなかったが、とりあえず優子の負担を減らすために、出来ることから始めようと決めたんだ。
まずは、家事を手伝ってみる。
優子は少し間を置いて、控えめに問うてきた。
「お勉強、いいんですか……?」
「いいんだよ。こっちの方が大事だろ」
俺を見つめるその瞳が、輝いた。