家族になろうよ!


それは、浮世離れした美人で、いつも全てを悟りきった無表情で、何を考えているのか分からないふうにしているけれど、実は臆病で、思いやりがあるのにそれを表現できない、不器用な、頑張りやで、家族思いの、とびきり優しい心を持っている、俺の。……




「俺の妹だ」




沈黙。

案の定、この場にいる全員が言葉を失った。


「……こ、この期に及んでそんな、ふざけた嘘つくなんて、汚えぞ!あんな綺麗なお姉さんがお前の妹なわけないだろ!」


「嘘じゃないよ!」


突然、力強い助っ人が現れた。


「早乙女さん」


「服織女くんの妹さん、優子ちゃんっていうの。すごく大人びてるけど、可愛らしい小学生の女の子だよ。私、知ってるの。優子ちゃんとお友達だから!」


学園のアイドルに熱弁されては、さすがのコイツも勢いをなくして後ずさるしかない。


「で、でも早乙女さん、服織女のやつ、ぼろっぼろの団地に入ってったんすよ?どう考えても密会のための仮住まいじゃないすか。あんなの人がまともに住む所じゃ……」


「悪かったな。あいにく俺は生まれてこの方ずっとあそこに住んでんだ」


「団地も悪くないよ。風情があって、落ち着くし」と、凌のフォローが入る。


「はあ?冗談きついぜ……。この神世に通ってて、まさか底辺だなんて言わねえよな」


< 155 / 161 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop