家族になろうよ!
「あの頃のお前、変な喋り方だったよな。語尾がむちゃくちゃ。こん畜生が」
「いやいや、一生懸命敬語使おうとしてたのよ。それより斗馬クン可愛かったよねー。あ、今も可愛いか。パーンチ」
「一言余計なんだよ。お前こそ可愛かったな、昔は。ぶっ飛ばす」
肩を寄せ合い、ほのぼの懐かしい思い出話に花を咲かせながら、格闘ゲームで火花を散らす。
凌が持ってきた最新ハードの高スペックを嘲笑うかのように、前時代の遺物と化したアナログテレビの小さい画面がざらつく。
「ねえ、テレビ買い替えないの?」
「お前が買ってくる分には誰も文句は言わねーんだぞ」
「そこまで自由なお金はないよ……あー!また負けたぁ」
ウルトラコンボフィニッシュ。
俺の見事な勝利だ。
凌はコントローラーを放り投げると、大袈裟に倒れこんで日に焼けた畳を抱き締めた。
俺はひっくり返ったコントローラーを拾い上げ、それを惨めな後頭部に乗せてやる。
「そもそも、うちが貧乏なのは凌のせいでもあるんだからな」
「ええー、なんでぇ?」
「お前が俺に勉強なんて教えなければ、俺はごくごく並みの頭をした子供でいられて、親父が俺を神世にやろうなんて気も起こさなかったはずだ。あの日から始まった公園での特別授業が、俺の人生を狂わせたんだ」
「何言ってんのさ」と頭上のコントローラーを退けると、凌は勢いよく起き上がった。
「放っておいたって斗馬クンは成績優秀だったと思うよ。俺のあんな要領を得ない説明だって、一回聞けば大体は理解してくれてたじゃない。基本的に頭の出来がいいんだよ。それに、お勉強したいって言ったのは斗馬クンの方でしょ?」