家族になろうよ!
ほら、思った通り。
「先客がいたですねー」
土管の中には、膝を抱えてデカイ体を小さく丸めた凌がいた。
「……なんで探しに来たのさ。放っておいてよ」
刺すような目で睨まれる。
これは珍しいな。
体育座りってところが間抜けだが、首から上だけ収めた写真を学校にばら撒いたら卒倒する女子が続出しそうだ。
「凌、誤解だ。説明するから、とりあえず俺んち来いって」
「やだよ!大人になった斗馬クンはチェリーなボクのことなんてバカにしてるんでしょ?」
「してねえよ」
だいたい俺達の歳で童貞コンプレックスをこじらせるのはまだ早いだろうが。
「俺だけじゃなくて、お前にも関係あることなんだよ。マジで笑えない話なんだ。頼むから聞いてくれ」
「え……もしかして、斗馬クンってオレと付き合ってるつもりだった?昨日のあの人との泥沼の三角関係に、オレ巻きこまれちゃったの?」
「どういう解釈してんだ、ふざけてんのかコノ野郎!」
もういい!と辺りの砂を土管の中に蹴り入れて、俺はきびすを返した。
盛大な咳が聞こえて来ようが知ったこっちゃない。
冗談じゃねえって言ってんのが分かんねーのか、このアホは!
大股で公園を後にする俺を、背後から情けない声が呼び止める。
「ごめん、嘘だって!……っげほ、話聞くから、待ってよ斗馬クン!」
追いかけて来るくらいなら、はじめから素直について来いってんだ。