家族になろうよ!

布団に膝をついて項垂れる。

顔が痛いほどゆがんでいく。


最悪だ。泣けてくる。


目頭の温度が急上昇するのと同じ速度で、親父への怒りがこみ上げてきた。

酔っ払って帰ってきたあの日から、親父は自分のことばかりだ。

この歳になって親父がいないと寂しいとか親父を一人占めしたいとか、そんなことは思わない。

でも最近の親父は、己だけが影響を受けるだけでは済まないような重大なことを勝手に決め、自分の望むように行動し、それで俺がどれだけ迷惑を被っているかなど気に留めている素振りもない。


神世を受験させられたときにも、今回と同様に強硬に事を押し進める親父に反感を覚えた。

でもそうした根底には、能力を無駄にしてほしくないとか、少しでも良い学校を出て将来良い仕事に就いて余裕のある生活をしてほしいとか、俺を思ってくれる気持ちがあるのを感じたから、俺は受け入れたんだ。


それが、今の状況はどうだ。

年甲斐もなく色恋に浮かれて――ああ、親父は間違いなくあの婆さんの血を引いていたんだな――、必要なことさえほとんど伝えてくれずに、俺にこんな思いをさせて。


素直で、まっすぐで、人が良いのだけは誰にも負けない親父が自慢だった。

小さい頃、一度だけ職場に連れて行ってもらったときに見た、とてつもなく巨大なトラックをその腕だけで悠々と操る姿は、世界一格好良かった。

それなのに。


俺は今、初めて親父を嫌いになりそうだ。

そんな自分も、また嫌になる。

どうすればいいんだ。

これからどんな面下げて生活していけばいいんだ俺は。……

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