家族になろうよ!
どんな苦労も時が笑い話に変えてくれる、という昔の歌がある。
だったら俺は時間を早送りできるアイテムが欲しい。
そして手っ取り早く七十歳くらいになって、笑い話をしながらゆっくり余生を過ごしたい。
若さなんていらない。
そんなもん、辛くて、苦しくて、恥ずかしくて、そして悲しいだけだ。
夏目漱石の『こころ』で、先生も言っていた。
「若いことほど寂しいものはありません」と。
そう悟ってみても、時間の流れは変わらない。
便利アイテムをくれるロボットの知り合いもいない。
だから翌日、目が覚めても俺は若くて、学生のままだった。
そして現実は想像以上に、徹底的に、俺を打ちのめした。