鬼
ふと背後から奇声が聞こえた。
そっと振り返ると
そこには地べたに座り込み、何かに怯える男。
「…ば、…化け物……ッ!」
男は腰が抜けたようで、立ち上がれないようだ。
それでも必死になって足をバタバタと動かす。
化け物……?
化け物とは
オレのことか…?
オレはふと両手を広げ自分の目の前にかざした。
……!
オレの視界に入ったもの…
燃えるような真紅の肌と
研ぎ澄まされた爪
それは燃えゆく街に溶け込むように確かに存在していた。
オレは一体何なんだ……?