シェリの旅路
ついに四人の共鳴者と妖精の

五人が揃った。


「僕はダビデズアイシティの

王子、ハーヴァルドです。

人々が何者かによって

石になってしまいました。

皆さんもその事はすでに

ご存知だと思います」


王子は愛馬から降りながら言う。


「『王子!?』」


ハーヴァルドを除く全員が

彼の言った王子という言葉しか

聞いていなかった。


自分と同じ金持ちの

においをかぎとった

ヴァネッサは、


「まぁ、あなた様が

ハーヴァルド様ですの?

私、ヴィーナスフォロウシティ

が誇る天才バイオリニスト、

ヴァネッサと申します。

今度ぜひ演奏会に

お招きください」


年下の自分より背の低い少年に

腰を低くして挨拶した。


「そうですね。機会があれば。

皆さんも僕と同じように

石にならなかったようですね。

一体なぜ?」


ヴァネッサの挨拶に淡々と

答えたあと問う。


< 111 / 261 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop