シェリの旅路

「キミだって恋する心を

なくしたから

恋できないでしょ？

できないことを責めるんじゃ

なくてキミは私達の心を

取り戻す手伝いをして

くれるんでしょ？」


フランはキミをなだめた。


『そっか！

キミ、手伝いをするんだった！

反省しなきゃ』


キミは肩をすくめた。


「キミの心も取り戻さないとね」


「あたしの恋愛経験を

教えてあげてもいいわ。

聞く？」


ヴァネッサは曲の第２章が

思い浮かぶきっかけを作ろうと

キミの心を刺激する作戦に出た。


『え？いいの？』


キミはヴァネッサが苦手なので

遠慮しがちに言う。


「もちろん。

じゃあ早速話すわ。

あたしの初恋は今は亡き

天才バイオリニスト、

ベリーネの音色だった。

ピアニストのパパと彼が

共演して、の音色に出会って

あたしはバイオリンの音色の

虜になったのよ」


ヴァネッサは語り出す。


「それはあなたがバイオリンを

始めたきっかけでしょ」


フランは恋愛の話と話題が

ずれていると指摘したが、

ヴァネッサは構わず続けた。