シェリの旅路
『今でも仲良しなのに
どうして別れちゃったの?』
キミは問う。
「だって、バイオリンの事しか
楽しく会話できないし、
はじめから恋人というより
友達って感じで。
いい思い出だったけど、
仲がいいから付き合い続ける
ってほどは、お互い
好きじゃなかったのよ。
あたしは彼の職人としての腕が
彼はあたしの弾くバイオリンが
好きだったの」
ヴァネッサは、ようやく
まともな事を言ったが、
やはり人と恋愛というよりは
物に惚れ込むという意識が強い。
『……難しいね』
キミはなんだか
どこか心当たりがある気がして
胸が苦しくなった。
「じゃ、次いくわね。
5番目の人は同じ
バイオリニストだったわ。
お互い若き天才と期待されてて
ライバルとして意識しあって
いるうちに惹かれたのよ。
あたしの音色をせつなく強く
訴えかける音と例えるとしたら
彼の音色は優しく包み込む
調和の音であたし達はまったく
正反対だった」
どうして別れちゃったの?』
キミは問う。
「だって、バイオリンの事しか
楽しく会話できないし、
はじめから恋人というより
友達って感じで。
いい思い出だったけど、
仲がいいから付き合い続ける
ってほどは、お互い
好きじゃなかったのよ。
あたしは彼の職人としての腕が
彼はあたしの弾くバイオリンが
好きだったの」
ヴァネッサは、ようやく
まともな事を言ったが、
やはり人と恋愛というよりは
物に惚れ込むという意識が強い。
『……難しいね』
キミはなんだか
どこか心当たりがある気がして
胸が苦しくなった。
「じゃ、次いくわね。
5番目の人は同じ
バイオリニストだったわ。
お互い若き天才と期待されてて
ライバルとして意識しあって
いるうちに惹かれたのよ。
あたしの音色をせつなく強く
訴えかける音と例えるとしたら
彼の音色は優しく包み込む
調和の音であたし達はまったく
正反対だった」