シェリの旅路
「水が綺麗だ。

……すみません、フランさん。

僕の愛馬のコーエンの

世話をしたいんですが」


ハーヴァルドは湖の水質が

綺麗だったので、今日はここで

馬の世話をしたいと思った。


「私は構わないけど。

連れにもどる?」


「いいえ。呼びます。

コーエンは口笛を吹けば

いつでもどこにいても

来てくれます」


ハーヴァルドは笑顔で答え、

指を口にくわえて

口笛を鳴らした。


王子も口笛を吹くのかと

意外で驚いたのと

上手に口笛を鳴らしたのを見て

フランはきょとんとしていた。


「すみません。

マナー違反でしたね。

もちろん城では禁止なんです。

でも、馬の調教師の先生が

口笛で馬たちを呼び集めている

のを見て憧れて。

こっそり教えてもらいました。

練習だっていっぱいしましたよ」


フランが驚いているのに

気付き、ハーヴァルドは、

不快な想いをさせなかったか

心配になった。


嫌われないように

弁解したかったが、

うまく言葉が見つからず

正直に事を話すと

昔が懐かしい反面

自分が子供のような気がして

照れた。

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