シェリの旅路
「いいえ。王子様が口笛を

ふけると思ってなかった上に

上手だったから驚いて。

いっぱい練習した努力の成果ね。

……でも、本当に馬は来るの?」


フランは問いかけた。


もし来るなら相当な信頼関係が

築かれているという事だ。


「えぇ。先生がそのように

調教してくださっていることも

あるのですが。

馬は……というか動物は

世話をよくしてくれる者には

絶対の信頼を寄せるんです。

フランさんは何か動物を

飼われたことは?」


ハーヴァルドはフランの言葉に

ほっとした。


フランが口笛に不快感を

抱かなかったのがわかった

ハーヴァルドは安心して

いつもの饒舌さを取り戻した。


「いいえ。ないわ」


動物を飼ったことのない

フランは首を横にふった。


「……あの、もしよろしければ

僕の馬を一緒に

世話してみませんか?」


ハーヴァルドはフランと

笑顔に満ちあふれて馬の世話を

する姿を思い浮かべて

また緊張した。


「え?」


突然の申し出にフランは驚き、

戸惑う。
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