シェリの旅路

フランは家の外に出てから

ハーヴァルドの手を握った。


「え？フランさん？」


ハーヴァルドは赤面した。


「高いとこ好き？」


フランはそんなことは

お構い無しで問う。


「え？あ、はい」


ハーヴァルドは訳もわからず

赤面して鼓動が高鳴る自分に

戸惑いながらほとんど

考えられない頭で答える。


「じゃあ、しっかり握って。

空を散歩しましょう」


言いながらフランは、

自分とハーヴァルドの体に

【飛】の魔法をかけ、

浮かびあがる。


「う、うわぁ！浮いてる！」


初めて体感する浮遊感に

ハーヴァルドは興奮する。


そんな少年らしくなった

彼を見て、フランは

愛らしいと思った。


また同時に、これが家柄とか

王子とか脱ぎ去った

ハーヴァルド自身なのだと

感じた。


「空を散歩するのは初めて？」

「もちろん初めてです！

風が気持ちいい！

月も星もこんなに近い！」


ハーヴァルドは感激していた。