シェリの旅路
話し合いを終えると、

明日に備えて皆早々に

眠りについた。


さすがに今夜は

ハーヴァルドとフランの

日課である空中散歩もなかった。


ハーヴァルドは久々の自室にて

眠れない夜を過ごしていた。


亡き母の肖像画にむかって

悩みを打ち明ける。


「母上、僕は恋をしました。

フランは僕にとって最愛の人で

結婚したいと思っています。

しかし、この戦いが終わって

全てが元に戻った時、世の中は

しばらく混乱に陥るでしょう。

春が夏になっているのですから

仕方がありません。

僕は当然この国の王子として、

共鳴者として

石になった世界の3ヶ月を

父上に報告し、共に混乱を

鎮めなければなりません。

隣国だけでなく世界中の王にも

お会いして国を鎮める事に

尽力しなければならないと

思っています。その中で

フランを守っていけるか

自信がなくて僕は何も

言えませんでした。フランが

どうしたいのか聞く事さえも。

もし、他に何かやりたい事でも

あって離れることになったらと

思うと離れたくなくて。

……僕は欲張りですね」


答えは出ない。
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