シェリの旅路
父上はその後すぐに

周囲の反対を押しきって

母上を妻に迎え入れられた。


父上と母上の結婚は

貴族からは反感を買ったが

多くの国民の希望となった。


それは母上にとって唯一の

救いだったそうだ。


母上は、王妃に成り立ての頃

今までと生活が違いすぎて

なかなか城での生活に馴染めず

辛い思いをされた。


その上

今まで習ったこともない勉強や

テーブルマナーなど

覚えるべき事が多すぎて

うまく出来ず

教育係の先生だけでなく

メイドからも叱られ

毎日泣き続けていたそうだ。


ストレスから何度も

流産や死産を繰り返し

結婚して10年。


ようやく僕が産まれた。


二人の子としては

7番目の子供だった。


―だから、父上は

僕を過保護にされる。


……気持ちはよくわかりますが。



僕が産まれてからの母上は

立派な母親になろうと努め

積極的に勉強にも取り組み

素敵な女性へと

成長していったそうだ。


以前のような明るさと

自信も取り戻し

父上が恋をされた母上、

それ以上に魅力的な方となられ


父上は一層母上を愛された。


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