シェリの旅路
ヴァネッサはテラスに出て、

シェリに最後の食事と手紙を

届けるためバイオリンを

弾いていた。


(シェリはどんな子供かしら?


きっと怖がりの弱虫で

ひきこもりね。

外に出ないから信じられる人も

感謝するようなこともなくて

もちろん楽しくなんてない。

努力家で自分で魔術の

勉強をして

その魔術であたしを攻撃しない

優しい子。

戦いだってきっと嫌いだわ。

本当は同じ年頃の

子供達と友達になりたくて

一緒に遊びたい人見知りな子。

これからは世界を広げて

楽しまなきゃ)


ヴァネッサはバイオリンを

弾きながらそんな想いを

曲にのせていた。


「そういえばこの曲には

名前がなかったわね」


食事を届けてから

ふと思い出し、

ヴァネッサは少し考えて

楽譜に曲名を記した。


〝マ・シェリ〜愛しい子〜〟

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