シェリの旅路
勉強が終わってひと休み。


メイドが紅茶を運んでくる。


「あら、まぁ!

見てください!ハーヴァルド様。

虹が出ていますよ」


メイドはテラスの方へ

駆けていき

テラスのドアをあけて外に出る。


僕もその後についていき

虹を見る。


―虹は美しいものだけれど

なぜ君は虹を見て

そんなに楽しそうなの?


僕のそんな想いを

吹き飛ばしてくれるかのような

強い突風が吹いた。


体がよろけた。


メイドは大丈夫だっただろうか?


「すごい風だったね。大丈夫?

……!?」


僕はメイドの姿を見て絶句した。


先ほどまではしゃいでいた

メイドが石になっている。



……なぜこんな事に!?

今の風は何だ?

父上は御無事だろうか?


僕は父上の安否を

確かめるために走った。


「!?」


廊下にいたメイド達も

石化している。


不安を抱えながら

父上を探す。


「父上!……っ!?」


父上の書斎。


椅子に腰かけていた父上は

石になっていた。

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