シェリの旅路

「お名前は？」


母は床に膝をつき、

シェリの肩に触れて問う。


「……シェリ」


シェリは瞳の色で魔術師だと

ばれて、嫌われるのを恐れ

目を背ける。


「シェリね。綺麗な緑色の瞳。

今日から魔法が使える子が

息子になるなんて！素敵！」


母はシェリの瞳を見つめて

抱きしめた。


「本当か！

何て素敵な事なんだ！

シェリ、私は今日から

君のパパだ！」


父もシェリを抱きしめて喜ぶ。


ヴァネッサは喜ぶ両親と

戸惑いながらどこか安らいで

いる様子のシェリを見て

微笑み、近くにいたメイドに

こう頼んだ。


「悪いんだけど、弟の使って

いた部屋を片付けてもらえる

かしら？あたしはこれから

厨房に行って、ディナーの

用意をしてもらうから。

今日はいつも皆にお世話に

なってるし、家族も増えて更に

お世話になるから感謝を込めて

パーティーをしましょう。

皆に参加するよう伝えて。

全員によ？」


笑顔で言い、厨房へ去っていく

ヴァネッサにメイドは驚き、


「は、はい！承知いたしました」


慌てて他のメイドの元へ

走っていった。