シェリの旅路
「パパ!お帰りなさい!」
階段を駆け降りて
玄関で一足先にママに
迎えられていたパパに抱きつく。
「おぉ、ヴァネッサ。
元気だったかい?」
パパはあたしの頭を撫でる。
「えぇ、もちろん。
公演会はどうだった?
何ヵ国もまわったんでしょ?」
「どうって?いつも通りさ。
その話は夕食の時にでもしよう」
「まぁ、もったいつけちゃって。
あたしも話したい事があるから
夕食でね」
部屋に向かう背中に声をかけた。
たぶん公演会の話は
淡々と終わる。
3ヶ月ぶりの再会でも
我が家はいつもこんな感じ。
3年前、弟が病気で
亡くなってから音楽の話題に
関してはずっとこの空気。
うちは有名な音楽一家だから
近隣国から招かれて
公演会をする事なんて多々。
両親不在で
弟と二人で留守番する事も
幼少時代から普通の事。
彼の最期を看取ってやれたのも
あたしだけだった。
パパはすぐに連絡がとれて
彼が亡くなった1時間後に
お別れが出来たけど
隣国で公演会をしていたママは
1ヶ月戻って来られなかった。
階段を駆け降りて
玄関で一足先にママに
迎えられていたパパに抱きつく。
「おぉ、ヴァネッサ。
元気だったかい?」
パパはあたしの頭を撫でる。
「えぇ、もちろん。
公演会はどうだった?
何ヵ国もまわったんでしょ?」
「どうって?いつも通りさ。
その話は夕食の時にでもしよう」
「まぁ、もったいつけちゃって。
あたしも話したい事があるから
夕食でね」
部屋に向かう背中に声をかけた。
たぶん公演会の話は
淡々と終わる。
3ヶ月ぶりの再会でも
我が家はいつもこんな感じ。
3年前、弟が病気で
亡くなってから音楽の話題に
関してはずっとこの空気。
うちは有名な音楽一家だから
近隣国から招かれて
公演会をする事なんて多々。
両親不在で
弟と二人で留守番する事も
幼少時代から普通の事。
彼の最期を看取ってやれたのも
あたしだけだった。
パパはすぐに連絡がとれて
彼が亡くなった1時間後に
お別れが出来たけど
隣国で公演会をしていたママは
1ヶ月戻って来られなかった。